自衛隊飛行

ブルーインパルスとかいう自衛隊機の飛行show


 自衛隊機が、6台ほど、東京の上空を旋回して、医療従事者を慰め、感謝の気持ちを表したのだという。
 事実の問題として、2020年5月29日金曜日午後のことだったらしい。
 私はその時間、授業をしていて、室内にいたため、音も聞こえなければ、その様子も知らない。
 その後の報道で、自衛隊機が意味なく上空を飛び回り、医療従事者への感謝の意を表す飛行ということだった、と知らされたが、怒りの感情が湧き出したことをここに書き記しておきたい。
 しかも、報道では、世田谷区池尻にある自衛隊病院からこの航空ショーを映した映像が使われまくっている。自作自演としか言いようのない、やらせ、であると、私は認識する。
 なぜ、飛行機が空中を舞ったら、それが、感謝の意味になるのか?私の理解を超えている。そして、しかもそれが、自衛隊のものである。
 なぜ、軍隊に医療従事者が感謝されなければならないのか?
 

 医療に携わるものは、当たり前のこととして、真っ当に患者と向き合い、患者の置かれている現実と向き合い、その中で必死に格闘している。それを、なぜ、軍隊という全く関係のない組織から、慰められ、感謝されなければならないのか?ふざけるのもいい加減にしろ。


 自衛隊機を無意味に飛ばしたいのならば、飛ばせばいいではないか?勝手に、感謝とか、なぐさみとか、テキトーすぎる理由を引っ付けることをやめて。たしかに、日常とは異なる時空間が演出できるのだろうとは、思う。多くの医療従事者は、その時間勤務時間中で、自衛隊機など、見る余裕もなく、忙しく懸命に治療にあたっていたものと思うが、それを乗り越えて、「慰み、感謝」を押し付けようとしているのならば、国家権力による、「感謝」の押し付けであるとして、その行為を拒否したい、という感情まで、私は湧き出すほどに、気持ちの悪いものだった。


 そして、そんな気持ちの中にある私に、とある音楽家は、この事実を捉えて、自衛隊の行為を「素直に」そのまま受け止めて、snsに、「自衛隊ありがとう」といったメッセージを残している。こうやって、artistも戦争に動員されていくのかと、悲しい気持ちになる、と同時に、この関係性を変革すべく、今何ができるのかと、情況をとらえ返さざるを得ないほどに、今、追い込まれているのだと感じる。


 もしこの事実を知っていたならば、世田谷住民として、自衛隊病院に乗り込んで、インパルノ飛行をやめろ、と叫ばねばならない、ということなんだろう。
 

 SJ  2020-6-1