タバコ

タバコをめぐるトラブル
 とその先

 紙タバコ喫煙者への排撃は、すさまじさを増している。そこから派生した電子タバコの動きなど、喫煙者を差別する構造は国家、民衆総ぐるみで行われている、得体の知れないものだ。
 タバコを吸っているものがいれば、密告せよ。報奨金を進呈する、的な勢いを感じている。

 渋谷区では、路上喫煙に対し、現行犯で、2,000円徴収することが、条例化されているようで、何人も私の目の前で、支払いを要求されているものを目にしてきた。
 その際、電子タバコでは、徴収しないなど、曖昧な姿勢で、強権的に乗り出してきている。今のところ、警察との連動はうすい、ように見える。

 タバコは、もともと国策会社、日本タバコが、製造してきたものだ。国家が製造して、国家財政を支える存在だったものを、民営化し、今やその使用者を排撃する、その動きは、異様なまでに、ご都合主義だ。

 紙タバコと電子タバコの間の扱いの違いも、その両者間での足の引っ張り合いに発展しかねない危うさを持っている。
 分割して統治し、それぞれをいがみ合わせる、ことで、統治に成功しようとする支配者の思惑が見える。

 差別行為を助長する発言が、とある医師からあったらしい。
 【電子タバコを使用しているものは、コロナウイルスをばら撒きやすい。】
 いやいや待てよ、それはおかしいだろう。
 電子タバコを吸って吐き出す行為と、呼吸に伴う行為を意図的に区別し、呼吸は良いが、深呼吸は悪いと、恣意的な判断を下す医師は劣悪すぎる。我々は迂闊に深呼吸さえできなくなる。そんなバカな話はない。
 どのような呼吸をするか、それは私たちが絶対に手放してはいけない類の自由、というものだ。
 この医師の頭の中には、タバコは悪、だから、この機会に喫煙者をゼロにしてしまえ、という思惑が作用している、と思われる。

 コロナ案件で、幾つもの差別を撒き散らす発言がなされてきた。
 第一波の際、パチンコ屋は、危ない、と言い続けた行政機関。全くのデマだったが、その謝罪はない。それはなぜか?

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タバコを吸う自由が抑圧されている。
 酒を飲む自由が、次に抑圧されている。飲み屋はもはや、立ち上がれないほどのダメージを受けている。
 タバコの次は、酒だった。
 タバコを吸う自由が制限されたとき、多くのものは、声を上げなかった。自分は吸わないから関係ない、と言って。

 酒を呑む自由が制限されつつある。しかし、大きな反対運動には、必ずしもなってない。しばらく飲まなければ良いだけだ、と言いながら。

 次に狙われるのは、コーヒーか?タピオカか?
あるいは、ネールか?
 コーヒにも、タピオカにも、ネールにも、それぞれに良くない点と良い点を両面併せ持つ存在だ。その欠点だけを殊更に抽出し、拡大再生産して伝播すれば、世論が形成されかねない。そのような愚かな攻撃に対抗できるだけの力を、私たちは、持っていないと、危ない社会を生きている存在に堕ちてしまう。
 国家がその安定性がぐらついたとき、ターゲットを決めて、暴力的に介入してくる。その際、なるべく広い層が反対運動を起こしていかないと、あっという間に、国家の思い通りの秩序が形成されてしまいかねない。

 そんな時代を今私たちは、生きている。

 苦しい中でも、光を見つけ、そこから広げていくしか道はない。

 SJ 2021.8.13.