東大教養学部 密告奨励

東大教養学部における密告奨励文書

 


教養学部長名で出された、【期末試験についてのお願い】2020.6.18付、は、恐るべき内容を内包した文書だ。

 


引用始まり

もし集団的不正行為が計画されていた場合、まず絶対に関わらないようにして 下さい。また、そうした情報を見聞きしたら、試験開始までに教務課まで連絡 をお願いします。(もちろん通報者の秘密は絶対に守られます。)

引用終わり

 


不正行為が計画されているならば、それを密告すべく促している。実行される前の事前情報を教務課に連絡すべく促している。

不正行為を処罰するだけではなく、事前の真偽不明な情報を集めて、対応しようと画策している。

こんなことをし始めたら、偽の情報をいくらでも流せるわけで、医学部進学を考えてしのぎを削っているものたちの中では、不穏な空気を形成することを促しかねない、やばい話だ。

 

 

 

不正行為を取り締まる権利は、単位認定権を独占している教授など当局側にあることは、現状理解できなくはない。しかし、集団不正行為計画を取り締まるということは、学生を疑いの目でみていると宣言したに等しいわけで、教育者として、明らかに対応に問題がある。

集団不正行為が可能な試験しかできないような制度に目を向けることなく、学生を監獄のように管理し、制度を守ろうとする姿勢は、醜悪だ。

 


偽の情報であれ、〇〇ら三人が、不正行為を働くべくsns上で謀議していた、などと、教務課に流したら、偽の情報を流した学生はスルーで、流された学生が、監視下に置かれるのか?

こんな意味のわからない話はない。

一体何のために、集団不正行為の密告を促しているのか?これこそが愚かな手法である。

 

2020.6.18.
SJ

 

 

 

 

 

 

 

以下は、全文

 

期末試験についてのお願い

教養学部生の皆様、今年はコロナウイルス感染症のために授業が自宅等での オンライン受講となり、いろいろとご不便をおかけしていると思います。教養 学部としてもできる限りのサポートをしておりますが、至らない部分もあった かと思います。いろいろな不備について、まずお詫びしたいと思います。

 


キャ ンパスでの対面授業や課外活動などは、Sセメスターでは実現できませんでした が、Aセメスターで実施できるように、準備を進めております。

さて、7月にSセメスターの期末試験が実施されます。本来ですと、公正を期 すために、同一条件下で対面試験を実施することが求められます。しかし、今 年は一部の学生は帰省していたり、健康リスクのために外出を自粛したりする 学生が少なからずおります。そのようなことも考慮して、大多数の授業の成績 評価については、東京大学全体でオンラインで期末試験を行うか、日常的に出 される課題などを総合的に評価して行うことになりました。(なお自宅でオン ライン試験を受験したくない学生には、キャンパス内に少数ですが予約制の受 験ブースを用意する予定です。)

ここで皆さんに一つお願いがあります。それは不正行為に関することです。 従来から教養学部では、試験時の不正について厳格な処分を行ってきました。 これまでの対面試験でも少数の不正行為(カンニング剽窃行為)が発見され、 その場合当該学生および協力者について、同じ学期のすべての成績が無効化さ れるペナルティーが科されています。

今回、オンラインで試験を行うにあたり、対面試験に比べて不正が行いやす い環境にあることは、私ども教員は皆強く認識し、危機感を持って対応を進め ています。学部としても、さまざまな不正防止策を検討しており、可能な限り の抑止策を実施する予定です(具体的な不正防止策は教員毎にさまざまであり、 また事前対策を防ぐために公表はいたしません。オンライン試験のガイドライ ンと主な受験方法、また皆さんに準備していただく機器については、来週UTAS を通してご案内する予定です。なお不正対策により、試験問題はより皆さんの 本質的な理解を確認するものとなる事が予測されますので、しっかりと事前勉 強することが必要になるでしょう。)。

しかし、制度的にいくら厳しく不正対策をしても、その弱点を突いて不正を 行うことを完全に防ぐことはできません。たとえ対面試験を実施してもこれは 同じです。さらに、社会活動において、どれだけ厳しく法律で行動を規制して も、犯罪者がいるのと同じことです。ですから、私は不正を防ぐことができる のは、皆さん一人一人の心にかかっていると考えます。

 

 

 

最近、他者の見本となり、法律を遵守しなければならない立場のリーダーが、 隠れて不正を行っていたことが暴かれ、最後にその立場を失うことがしばしば 起きています。今回皆さんが試験に際して「このぐらいのことなら許されるの では」と思って不正行為を行うと、「習い性になる」ということばのように、 この先の人生でも小さな不正を繰り返すことになります。当初はなんとか隠し おおせたとしても、やがてさらに大きな不正を行うようになり、最後には全て を失うことになります。皆さんには、このような先輩の轍を踏むことはしてほ しくありません。ですから、是非今回の試験において、皆さんが間違った道に 小さな一歩を踏み込んでいかないように心から願っています。最終的にどう判 断するかは皆さん自身ですが、皆さんには「正直に生きる」という、人として 当たり前の方向を是非選択してほしいと思います。

もう一つだけ記したいことは、集団的な不正行為についてです。不正は一人 で行うのではなく、協力者がいることがしばしばです。教養学部では協力者に 対しても同等に厳しい処分を科します。同じ高校の出身者間で情報を交換し、 不正行為を集団で行ったりする可能性も指摘されています。東京大学で集団カ ンニングが発生したら、まず間違いなくマスコミが集中的に話題にします。ネ ットでも大きく問題視されることになるでしょう。その矛先は、不正行為を起 こした当事者だけでなく、東京大学のコミュニティー全体(在校生・卒業生・ 保護者・教職員・進学希望者なども含みます)や出身高校、家族、友人など、 あらゆる関係者に及ぶことが予想されます。誰もが傷を負います。したがって、 もし集団的不正行為が計画されていた場合、まず絶対に関わらないようにして 下さい。また、そうした情報を見聞きしたら、試験開始までに教務課まで連絡 をお願いします。(もちろん通報者の秘密は絶対に守られます。)

最後になりますが、皆さんは公正な方法で東京大学に合格し、入学された学 生です。そのような人が、安易に不正行為に手を染め、これまでの努力や勝ち 得た信頼をすべて無に帰すような行いは、絶対に避けてほしいと思います。今 回の期末試験で一件も不正行為が行われないこと、もしこれが実現したら、単 位や成績以上に、皆さんにとって 素晴らしい名誉となることでしょう。

この秋にキャンパスで皆さんの晴れやかな姿を見ることを、心より楽しみに しております。

教養学部長 太田邦史